昌磨の笑顔の理由

昌磨の中国杯が終わり、数日が経ちました。
試合後のインタビューの言葉を聞いていても、宣言通り、本当に正真正銘「表現面に舵をきった」のだなと感じています。

世の中のライトなフィギュアファンは、このような昌磨の気持ちの変遷をもちろん知らないようで、フリーで2位に順位を下げても昌磨が笑顔を見せている事が不思議なようです。

宇野昌磨SP首位発進 今季世界最高得点105.25点 「自分のやりたいことができた」(一部抜粋)

https://news.yahoo.co.jp/articles/17b0a5ad609532d6bb5fbda1ab059e2282d60940

うれしかったのはジャンプのノーミスでなく「感情を入れて表現したい」と自らに課した目標をクリアできたこと。「自分のやりたいことができた」と満足感を漂わせた。

「やりたい事ができた」という昌磨の言葉を読んだ後に今回のショートの演技を改めて観ると、昌磨の気持ちの重みを感じてつい涙がにじみます。

https://sports.yahoo.co.jp/video/player/11654363

【フィギュア】今季世界最高&首位の宇野昌磨「大会で成績を出すことに執着がない」第2章スタート(一部抜粋)

https://news.yahoo.co.jp/articles/8a09406cc456b6628ae485de1afd8f01981d2e4

「全然スピードもないけれど、表現をやろうとしたところは自分を褒めたい。

ジャンプが良かったらいい演技、悪かったら悪い演技というのを、自分に対する採点でやめたい。今日はまずまずだったと思います」

ジャンプの成否で演技の良し悪しを判断したくないという思い。

これは大ちゃんファンの私がずっと苦痛に感じてきた思いと同じです。

もうフィギュアはいわゆる「競技」ですから。
ジャンプの成否で勝敗が決まるのは仕方ないと言えば仕方がないんです。

でも、どうしても嫌だったのは昌磨の言う通り「ジャンプの成否で勝敗が決まったとしても、演技の良し悪しを判断されたくない」というところなんですよね。

ジャンプをノーミスしたから、こちらの選手の方が演技の才能が上、ミスしたからこちらの選手の方が演技の才能が下だとか。

場合によっては、試合の順位は技術面と芸術面の才能は真逆の結果がでますからね…。

そして世間のジャッジは結局試合の順位で判断しますから。

宇野昌磨、今季初戦は準V「どんな練習が必要か明確に」見えた表現×ジャンプの融合 GP中国杯
フィギュア宇野昌磨 表彰台でまさかの仕草 シーズン初戦で2位「ジャンプ以外に気が回りうれしい」(一部抜粋)

https://news.yahoo.co.jp/articles/01eeefde121bf44fb38eadefc66b785855c22886

翌日のフリー。序盤の4回転2本をミスしてしまいます。それでも、今シーズン、ジャンプ以上に意識するのがプログラムの完成度。

「ジャンプ以外も意識してやろうとした意志が試合で表れたのが、スケートやってきてなかなかなかった経験なので」

宇野昌磨、ジャンプをミスしても見せた笑顔の理由 NHK杯では完成形のフリーを期待(一部抜粋)

https://news.yahoo.co.jp/articles/b32dfa083ed9cf31109dc8a0156d74e6b3ebb336

「僕がスケートをやってきた上で求めているのは、自分が自分の演技を見返した時に『いいな』と思える演技をしたい。僕は正直、この二年間(そういう演技が)できているか、と聞かれたら、ジャンプは本当に上手くなりましたし、いいと思いますけれども、『スケーターとしてどうだ』と考えると、あまり『うん』とは思えないので。

いつもシーズンに向けてどう調整していくのか、ということを考えますけれども、今回はそうではなく、エキシビションやアイスショーに出る中で『どんなスケートをできるか』『こういうスケートもできるんだ』というものを探していけたらな、と思っています」

世界選手権連覇を果たしてようやく漏らした宇野の本音だった。

『Timelapse/Spiegel im Spiegel』は、宇野のスケート人生を表現しているという。
余韻を残して演技を終えた宇野は、最後のポーズを解きながら笑顔をみせている。ジャンプの成否で演技の良し悪しを判断したくないという思いが伝わる場面だった。

昌磨は何年も前から「本当は表現面に力を入れたい」と言ってましたが、特に直近の2年は本当に葛藤していたのだなと、この記事を読んで知りました。

ジャンプをミスなく飛ぶ事が勝敗に直結する昨今のフィギュア界。

競技者であるアスリートとしてまずはジャンプを磨き、まぐれの世界王者ではない事を2連覇する事で証明した今、昌磨はようやく、今季ずっとずっとやりたかった表現面に試合でも心を込めて演技できたという事。

試合でも表現面に心を込めて演技できたという喜びが、今回フリーでジャンプミスがあっても笑顔であった理由だと思います。

ゲーム好きな昌磨らしい「長期的な戦略」であり、年月がかかっても「まんまと実行して見せたな」と私は思っています。

「みんな優勝してほしいな」中国杯2位・宇野昌磨が思ったこと 一夜明け心境語る(一部抜粋)

https://www.nikkansports.com/m/sports/news/202311120000426_m.html

「演技を見たんですけれど、ショートの方が良かった。フリーはもっと魅せられた。強弱も、スピード感も。ただ(表現にこだわってSP、フリー)どちらもやろうとした姿勢は、ここ最近で久々の感覚です。プログラム自体が良くなっていく確信に変わった試合でした」

アダム・シャオイムファ(フランス)が優勝し、宇野は「今回はアダムくんが優勝して喜んでいる姿を見ると『すごくうれしいな』と思いました。

自分の周りが(自身の結果で)喜んでくれる分には、すごくうれしいですけれど、それぐらい自分自身が結果に対する気持ちとか、競技に対する闘争心とかが、今は本当に薄い。『みんな優勝してほしいな』という気持ちでした」と明かした。

今回優勝したアダム選手について以前、昌磨がインタビューの中で

フランスのアダム選手のプログラムは、何を表現したいのかが伝わってくるような演技をしている

そのような素晴らしい演技をしていても、試合で勝ってトップに上がってこないと素晴らしい演技に注目してもらえない

と話していた選手ですよね。

「みんな優勝してほしいな」という言葉を読んでそのインタビューを思い出しました。

そして今季の中国杯でそのアダム選手が優勝したというところも昌磨が笑顔を見せた理由の1つであるかなと…。

そして昌磨らしい一場面が…。

隣に立っているアダムくんのメダルを見て、自分のメダルの裏表を確認している昌磨。

なんとまぁ、可愛らしい…。

自分を飾らず、世間の反応など眼中にないのか?と思うほど信念を貫く昌磨の姿勢。

今回、つくづく感じるのは、表現面を大事にしたかった昌磨の強い気持ち。

「闘争心が薄い」と明け透けに語る昌磨に、ネットニュースや動画のインタビューから受ける印象以上に、昌磨のその気持ちは強かったのかなと感じました。

だけど、昌磨くん。
ジャンプにおいて遜色ない相手と同じステージの上で、表現面で「競って」表現面において高いポイントを取って優勝する戦いざまを見せて欲しい!

世間に表現面の違いを魅せつけて欲しい!

昌磨が、4回転ジャンプ至上主義の今のフィギュアを変えて欲しい!

えみりん🎶

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