田中亜紀子さんリポート

もしも宝くじがあたったなら、横浜だろうと埼玉だろうと、新幹線でぶっ飛んで、連泊して連日公演を観てみたい。

ボンビーな私にとって、ネットにあがる様々な情報が私の大切な情報源。

CS放送も見られなかった私にとって、なんとも有り難い田中亜紀子さんリポート。

心から有り難く拝読させて頂きました。
誠に有難うございます(‐人-)

ここに記録として貼らさせてくださいませm(._.)m

このリポートの中で、私の心に深く深く刺さった大ちゃんの言葉をここにしたためておきたいと思います。

本当に、本当に、有難うございます (‐人-)

「初めてスケートそのものに自信をもって臨むことができます」

お~、なんと。
涙が出ます。

田中さんが仰る通り、謙遜深い大ちゃんが、ご自分のスケートに自信を持てたと外に向かって語っている。

ここからの大ちゃんの人生は、本当の意味で充実したものになっていくのではないかな、と推察します。

アイスダンス転向から1年半…高橋大輔『LUXE』解き放たれた演技の実況中継 

https://news.yahoo.co.jp/articles/eb10c8a77c8e851dbdec1c348c85f06858c54be0

イスダンスに転向して約1年半の高橋大輔(高橋の「高」は本来ははしご高)さん。昨年はコロナ渦でアイスショーがなくなり、転向がもたらすソロ演技の変化を見るチャンスはなかった。しかし、1年半ぶりに座長を務めるライフワークの「氷艶」のスピンオフのショー『LUXE』でヴェールを脱いだスケート人生の第2部の彼は、エンターテイナーとしてもスケーターとしても想像を超える高みに駆け上がっていた。ライターの田中亜紀子さんがリポートする。

|氷艶の出演者たちが再結集した「新たな挑戦」

予感はあった。
公演前、テレビなどでよどみなく公演を紹介する姿からにじみ出ている自信。
あの自分に厳しく、謙遜深い高橋さんが、パンフレットに「初めてスケートそのものに自信をもって臨むことができます」という言葉を寄せ、自分の技術の進化を見てほしいと語っていた驚き。これはすごいものが見られそうだと観覧した、総合エンターテインメントのアイスショー『LUXE』だった。
そしてそのスケーティングは想像をはるかに超え、まさにあいた口がふさがらなかった。

5月15から17日、3日間6公演が横浜アリーナで行われた、高橋大輔さん主演のアイスショー『LUXE』。タイトルの意味は、フランス語で優雅、豪華、贅を凝らしたことを意味する。このショーは、スケーターだけでなく、歌手や俳優といった異種のアーティストも氷に乗り、芝居や歌、スケートが一体化した総合エンタテインメントだ。2年前に行われた、源氏物語をモチーフにした宮本亜門演出の音楽劇『氷艶 hyoen2019ー月光かりの如くー』の国内メンバーが再結集し、スピンオフともいえる、新たな作品に挑戦した。「氷艶」は、もともと日本の伝統文化をフィギュアスケートと融合するショーだったが、今回はコロナ禍という特殊な状況下で、実現可能な方法を探り、ひとつの物語のショーではなく、歌と踊りを主体としたレビュー形式のものになったのだろう。

テーマは「世界巡り」。総合演出は、歌舞伎と融合した第一回目の『氷艶 hyoen2017ー破沙羅―』から関わる、尾上菊之丞さんで、加えて宝塚の演出を手掛ける原田諒さんを招聘した。出演者はスケーターから、座長で主演の高橋大輔さん、荒川静香さん、鈴木明子さん、織田信成さん、村上佳菜子さん、アイスダンスで高橋さんとカップルを組んでいる村元哉中さん。テーマ曲も手掛けた歌姫、平原綾香さん、元宝塚の男役トップスターであり、女優の柚希礼音さん。そして俳優の福士誠治さん、波岡一喜さん、西岡徳馬さん。この前回の氷艶メンバーに、今回は平昌オリンピックに出場したスケーター、田中刑事さんなど新しいメンバーも加わり、その他多くのアンサンブルスケーターやダンサーが集まった。

高橋さんは前回の悲劇的な運命だった、月の皇子の光源氏から、今回は太陽の王の息子、光の王子の役へ。いわば陰から陽。前回悲劇を演じた公演から親交を深め続けたメンバーたちが、今度は明るくレビューを演じるということになる。「このメンバーは本当に仲がよくまた一緒に仕事ができてうれしい」と高橋さんが言えば、俳優としてキャリアの長い、西岡徳馬さんは、「またこのメンバーでやりたいね」というのは、通常はいい舞台を作った時の合言葉のようなものという。稀に再演で集まることはあっても、再結集してまったく別の作品を作る今回のようなことは、西岡さんの芸歴をもってしても初めてだと語っていた。
そんな異例な舞台、どのようになるのだろう?

本番は、木枯らしがふく凍てついた冬から幕をあける。そこに柚希礼音さん扮する春の女神が高い天井から、布を使った空中パフォーマンス「エアリアル」で登場。金色の布の中から、金色のボディスーツを身にまとい、美しい筋肉のついた柚希さんの、のびやかな肢体とほほえみが現れる。その様子はまさに女神だ。布を手足で操り、開脚したり、釣り下がったり、高所でさまざまな美しいポーズを決めていく。初挑戦のエアリアルに、公演後、ご自身のインスタグラムで「実は毎回とても怖かった」と明かしていたが、微塵もそういう気持ちは見えない、素晴らしいパフォーマンスから舞台は始まったのである。

平原綾香さんが、歌手でありながら美しいスケートを披露しながらオープニングを歌い、スケーターたちがエキゾチックな衣装と舞で次々と登場し、物語は天空の宮廷へ。西岡徳馬さん扮する太陽の王が、千年ぶりに王位を、高橋さん演じる光の王子に譲るという場面から始まる。しかし、王子は「王位をつぐつもりはございません」といい、自分はまだ世界を知らない、自分の人生は自分で切り開くものと豪語し、大騒ぎの宮廷から去り、異次元へと旅立ってしまう。

「時を超え、姿を変えた王子」を追えというむちゃぶりを王から命じられるのが、福士誠治さん演じるハッサン(初日は吉川友真さん)と、波岡一喜さん演じるネッサンの二人組。まるで弥次喜多道中のように、息のあった二人が狂言回しとなり、さまざまな国に舞台が変わっていくのである。この光の王子が宮廷を去るシーン、前作の「源氏物語」では、王位を異母兄に譲られ、皇太子にもなれなかった無念から宮廷を去った光源氏のシーンが頭をよぎる。そして最初の引退後、夢や目標が欲しくてもがいていた高橋さんがスケート靴をおいて、NYに行ってしまったことも想起される。やはりこの物語は、彼の人生の物語でもあるのであった。

ここからはレビュー形式で、デジタル技術を駆使し、空間演出を行う、チームラボのプロジェクションマッピングが、リンクと、アリーナ空間を様々な国や景色に変えていく。最初は緑豊かなアマゾンのジャングルから。ここで生息する「食虫花」ならぬ「人喰花」を演じるのが、「氷艶」シリーズで悪役に開花したと言われる荒川静香さんだ。

「悪役は自分の実際のキャラクターと。まったく違うからこそ役になり切れるのかも」と語っていたが、ダークサイドが本当に光る。今回も、若い旅人を誘惑し、ついには食らいつくす淫靡で妖艶な花をねっとりと演じた。誘う表情、邪悪な表情、旅人が罠にかかった時のしてやったりの笑みなど、動きはもちろん、表情の演技もすさまじいものがあった。

そして、この相手役の若き旅人にサプライズがあった。最初に「誰?」と思った観客を、すぐひきこんでいったのは、パンフレットにアンサンブルスケーターとして載っていた、プロスケーター、吉野晃平さんである。

正直、この抜擢には驚いた。なぜなら、通常のアイスショーでは、目立つ出番は、国際大会で戦績を残したスケーターがほとんどだから。魅力ある演技をするスケーターでも、現在はジャンプの配点が大きいので、戦績に結び付かないことも多い。吉野さんは現役時代は国内の大会を中心に出場していたが、大学卒業後、プリンスアイスワールドチームに所属し、そのショーにて、徐々に存在感を示すように成長していた。その開花が、従来とは違うこのショーの抜擢に結び付いたのだろうか。抜擢に吉野さんは立派に応えたと思う。金メダリストの荒川さんを相手に、堂々と滑り、毒牙にかかり抱擁し、あがいても食べられてしまう青年の演技に、とてもひきこまれた。

通常のアイスショーでは戦績を残したスケーターがほとんどの中で、プロスケーターの吉野晃平さんが抜擢された話。

まさに大ちゃんの夢のひとつであるカンパニーが目指すところですよね。

シンプルな照明にはえるギリシャ彫刻のような身体の二人のスケート。一歩右に踏み出せば相手も踏み出し、手をあげれば水面の向こうも手を上げ、離れて舞えば相手も舞う。この演目の解釈は100人いれば100通りあるのではないかという哲学的なものだったが、私自身は、ナルシスの物語がこれほど怖いとは思わなかった。どこか魔を感じさせる田中さんの虚像が、いつ、実像と違う動きをして、高橋さんを泉の中に閉じ込めて去ってしまうのではないかと本当に怖かった。なので、互いに手をあわせ、回転している時に、急に田中選手が高橋選手の腕をがっとつかんだ時には、心臓が飛び出そうだった。

驚くナルシスを後目に、自由に舞い始め、本体をあざけるような影。影に翻弄され、惑わせられ、狂気を増していくナルシス。交錯し、疾走する二人の緊張感に、オーケストラの音楽が追い打ちをかけ、見ている側も追い詰められていく。高橋選手の苦悩の表情、そして「おまえは俺のものだろう?」と声が聞こえてきそうなほど、相手の顔をがっと抑え覗き込み、ふりはらい、追い求め抱き合う、その一挙一動から目が離せず、男性同士で組んで滑る迫力とエロスが、ひどく芸術的でもある。原作では、水面の自分に口づけして落水して死んでしまう(ほかの説もあり)ナルシスであるが、この作品でも二人が口づけし、去った後に、水仙の花がリンクの上にプロジェクションマッピングで美しく咲いていた。8分間。まるで一本の舞台演劇を見たような充実感。共に去ったのに、途中で別れ、リンクの端と端で相手を振り返る様子が、とても切なかった。

|黒い鷲が舞い降りてきた
第一幕にはもう一つ高橋さんの濃いプログラムが待っていた。平原綾香さんが天上からさがるゴンドラに座って登場。アリーナ空間を揺さぶり、骨まで響くようなパンチのある自作の「LUXE」の主題歌を歌い、さまざまなスケーターが小粋に躍るパリの場面だ。途中から高橋さんとアイスダンスのカップルである村元哉中さんが登場。「黒い鷲」というシャンソンの名曲にのって、全身をしならせる村元さんの滑りが始まった。そこに歌の歌詞の通り、大きく羽ばたきながら黒い鷲の高橋さんが舞い降り、先ほどまでいた悩めるナルシスはもうどこにもいない。

しっとりとしながら力強い平原さんの歌にあわせたこのダンスは、うっとりするほど大人のムードで、二人の息がぴったり。村元さんをやさしくなぞるように触れる黒い鷲。リフトも軽々と行われ、歌詞の如く、黒い鷲が王子さまに姿をかえたような高橋さんの滑りは氷にすいつくようだ。そして二人は鷲のカップルのように接近し、抱擁しては離れ、回旋しては接近する。その疾走感と情緒。カップルを組んで1年半の時が感じられる。最後に鷲が飛び去ってしまう歌詞にあわせ、二人は交錯しながら別々に滑り、名残惜しそうに、しかし自由に大鷲は空に戻っていく。余韻が残る二人の演技だった。

その余韻を断ち切ったのは、高橋さん自身だ。平原さんが再び主題歌を歌い、1幕に登場したダンサーがスケート靴で集合し、先頭でリーダーとして、まっすぐに伸びた姿勢でキレッキレにリズムをとりながらダンス。高橋さんが滑り出した後、スケーターも集まってきて、風のような高橋さんのスケートに目を奪われているうちに一幕が終了。何かものすごい濃いものを見てしまい、しばらく座席から立ち上がれなかった。

第2幕を伝える後編「第二のスケート人生がすごい…「LUXE」で高橋大輔が魅せた「進化し続ける姿」に続く

第二のスケート人生がすごい…「LUXE」で高橋大輔が魅せた「進化し続ける姿」
「氷艶」から「LUXE」へ 後編

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/83425?page=1&imp=0

アイスダンスに転向して約1年半の高橋大輔(高橋の「高」は本来ははしご高)さん。2年ぶりに座長を務めるライフワークの「氷艶」のスピンオフのショー「LUXE」が5月15日から17日にかけて上演された。エンターテイナーとしてもスケーターとしても想像を超える高みに駆け上がっていた高橋さん。その「スケート人生の第2幕」は、えらいことになっていた。

しかしコロナ禍で来場を諦める苦渋の決断をした人の声も多い。実際の舞台を言葉で完全再現することはできないが、少しでもその「すごさ」を伝えられたら……。「LUXE」第1部の詳細を伝えた前編につづき、「LUXE」の第2部をライターの田中亜紀子さんがリポートする。

|宝塚引退以来初の黒燕尾、スターの輝き

どんなところにいても、何をしても人の目をひきつけてしまう「華」を持つのが本物のスターだと思うが、座長の高橋大輔さんはもちろん、女優の柚希礼音さんもまぎれもないその一人だろう。2幕の始まりは、元宝塚星組トップスターだった柚希さんが、退団以来、6年ぶりに黒燕尾服で、アンサンブルの男性ダンサーを引き連れ、歌い踊るという演目だ。黒燕尾は宝塚にとって神聖なものだそうで、公演前から話題になっていた。2年前の氷艶では、退団以来初の男性役(実際は男装の女性)を演じた柚希さん。今回は。引退以来初の黒燕尾で踊る覚悟はどれほど大きかっただろう。

さて、第2幕だ。NYの摩天楼をバックに、氷上のセンターにおかれた大きなレコード盤を模した舞台で男性ダンサーたちがリズミカルに踊っているところに、黒燕尾服で髪をリーゼントにした柚希さんが幕から登場。ほほえみながらゆっくりとセンターに向かう姿の煌きと貫録はまさにスター。そして男性ダンサーを従え、歌い踊る姿のたまらないかっこよさとキレ。イケメンがそろうダンサーたちの中でもっとも男らしく、黒燕尾が映えている。アンサンブルの後は、スケート靴をぬいで陸ダンスに挑戦する鈴木明子さんとのワルツだ。娘役のような鈴木さんをリードして踊る姿は、誰もがこの人に支えられたいとうっとりするほどに頼もしく、美しい。それは舞台の上だけで会える理想の男性であった。

|バラをくわえた闘牛士の登場
そして、高橋さんが出演するスペインの演目へ。フラメンコダンサーがコーナーで踊り、フラメンコダンサーに扮した10人ほどの女性スケーターたちがリンクでスペイン舞踊の音楽にあわせて滑る。何やら女のいさかいをしているところに、マタドールに扮した高橋さんが帽子を投げて登場。びしっと決まったその姿に、観客の声にならない心の声が聞こえるよう。フラメンコのリズムにのって、下半身に重心のある滑りが力強く、鍛えあげた筋肉が衣装を押し上げている。次から次へと女性ダンサーと組んで踊り、最後にパートナーの村元さんと息のあったところを見せた。

そして高橋さんは場をリードしながら、大きくなめらかに滑り、最後にはバラをくわえ、女スケーターに囲まれる伊達男でフィニッシュ。ラテンとの相性のよさ、滑りの極上さはもちろんだが、目立ったのが、女性たちと組むときの余裕。前回の氷艶のあと、「組んで踊る必要性を感じた」とアイスダンスに転向した効果で、「人と組んで」踊る自信が現れているようだ。1幕で魅せたナルシスでの田中刑事さんとの踊りもそうだった。女でも男で、組んで魅せることに自信が出たのはエンタメでは大きな利点だろう。

アイスダンスに転向した大ちゃんはもう鬼に金棒、スケートで演目を演じる為の全てを掌握したのではないかな、と思います。

そして、デジタル技術を駆使し、空間を演出するプロジェクションマッピングで、会場はカリブ海に。一人の青年とカモメの章を、織田信成さんが軽やかに、村上佳菜子さんがドラマティカルに演じた。
さらに舞台は南米のカーニバルへ。女性スケーターがカラフルな羽をつけ、サンバダンサーとしての、大胆な衣装で踊る。後半に出てきた柚希さんのあでやかな極楽鳥の背中の羽のつかいっぷりは、さすが羽を背負っていた、元宝塚の貫禄を感じさせた。

同時に、歌姫の平原さんが、サンバの本場の重い衣装をつけて、氷上の靴で勢いよくはずんでいる姿のかわいらしいこと。スケート靴をはいた不安定な状況、ゴンドラの上に座ってと重心の難しいところで朗々と歌っていた平原さんが、ようやく重心をかけて歌える靴をはいた場面なのに、重い衣装を身につけながら全力ではねまわり、自らハードルをあげている姿に感服した。しかもさすがディーバ。その間、息もきらさず、のりのりのサンバを会場中に響かせていた。そして、ハッサンの福士誠治さんとネッサンの波岡一喜さんも、羽をつけ、リンクで歌いながら、サンバを楽しそうに踊っている。そのスケートがうまいこと。「スケートがうまいな」ということに意識がいかないほど、自然なのだ。どれほど練習を重ねたのだろう。彼らはアドリブで会場をわかせ、確かな演技で舞台をひきしめ、隅のほうの観客も盛り上げる気遣いも見せていた。

|「不死鳥の舞」
そんなカーニバルの喧騒から一転。
様々な地を巡ってきた光の王子が暗闇に佇んでいる。「夢」、という自身のナレ―ションから美しく滑り出す。「迷い」「涙」「喝采」「孤独」」「焦り」という切れ切れに繰り出すナレーションのワードにあわせ、重々しく、ねっとりとカーブを描いて滑る。そのワードが彼の引退前後のさまざまな時期と重なり、見ている心をざわつかせる。殉教者のようなすべりが終わると、リンクで静止する彼のはげしい息遣いそのものが演技として会場に響いていく。そこで「解き放て!」と高橋さんが声を絞り出し、滑り出した後の滑りの凄まじさときたら。

今回からの新しい試みで、高橋さんの滑りにあわせ、プロジェクションマッピングのセンサーが稼働し、足元に炎が燃える。この章のタイトル「不死鳥」にふさわしく、甦った後の、さまざまな荷物や重圧から解放された、自由で縦横無尽な滑りは、リンクを飛び出さんばかり。引退後、様々な経験をして現役スケーターに戻り、自分の道を見つけた高橋さんと、世界を見て自らの道を求めた光の王子がここで大きく重なる。そのスピードは「爆走」といってもいいほどで、雷鳴がとどろき、彼の後に炎がたち、それは火の鳥の軌跡となる。彼をとめるものは何もない。高橋さんが滑り終わると、火の鳥の像が結ばれ、リンクだけでなく、観客席をも大きくかけめぐる。前回の光源氏のラストのソロは悲劇的な「慟哭の舞」でねじふせられたが、今回は「覚醒の舞」ともいうべき炎の滑り。見ているこちらの心を躍動させ、高橋さんの今後が楽しみなことだけでなく、何か自分たちの今後に光を持たせてもらったような、そんな明るい気持ちになったような気がする。

怒涛のソロが終わって、エンディングでキャストの前で、朗々と歌い上げ、歌姫の平原さんとは堂々とハモる。その声の甘さと切なさ。前回の「氷艶」で初めて歌を披露した時もその巧みさに驚かされたが、今回は、難曲なのに楽しんでいるような余裕さえも感じられる。こうして主演・座長として、どれも異なる演技で何役も演じ分け、大きなエンターテインメイントの公演を成功させたのだった。

|現役もパフォーマンスも本気でやる
そんな彼は同時に、北京オリンピックをめざす現役のアスリートであり、この後は五輪シーズンの挑戦が始まる。それが、高橋大輔さんが選んだ道。現役もパフォーマーとしての活動も本気でやる。それが相乗効果を生んでいることはまちがいない。アイスダンスへの転向で、パートナーを意識して指先まで意識するようになった」と語っていた高橋さん。よりエッジが深くなるアイスダンスの靴で練習し、パートナーを支える筋力をつけるために人体改造も行った。そのすべてがソロの滑りに如実にあらわれまだまだ進化途中なのも、ありありとわかる。彼のスケート人生第2幕はえらいことになりそうだ。

最後になるが、今回の公演は、「医療コーディネーターのもと、公演に向けた合宿から出演者やスタッフの皆さんが徹底した感染対策を行い、本日を迎えることができました」と高橋さんがコメントを発表している。本番まで関係者は気の休まる日がなかっただろうし、3日間公演が実現したことは、奇跡に近い出来事にも思える。ただ移動の自重、家族の反対や体調不良など、さまざまな理由から、涙を飲んで鑑賞をあきらめた方も多い。だからこそ、楽公演をCSで生放送、地元の映画館でライブビューイングなどの開催で、行きたくとも足を運べなかった方たちと一緒に時を過ごせる試みがあったのは、とても素晴らしいことだと思う。エンタメは生きる糧。決して不要不急のものではない。パンデミックの終焉を心から望みたい。そして再びこの「LUXE」を多くの方と一緒に見ることができる機会があることも。

「現役もパフォーマンスも本気でやる」

私の情報源であるネットニュースのコメントを読んでいると、大ちゃんの記事には本当にたくさんのアンチの酷い言葉がズラリと並びます。

自分の推しがあまりショーに出ない事を正義とし、逆にショーに参加する大ちゃんを悪くコメントするのです。

「現役選手に復帰したくせに、ショーなんかに出てないで練習に励むべき」とか。

あまりに酷い言葉が並ぶので、人間のできてない私はつい、それとなく大ちゃんの素晴しさをコメントしてしまいますが、

そういう酷いコメントをする方々は一体全体、お気付きなのだろうか?

ご自分たちがお金を払って観に行くショーを、客である側が「下に」見下してしまっている事、

ショーでパフォーマンスする選手たちの姿勢を否定してしまっている事。

たしかに「現役もパフォーマンスも本気でやる」と敢えて語る大ちゃん自身、かつてはショーでのパフォーマンスを、試合の演技と比べた時に、どこか気を楽に演技していたからこそ出た言葉かもしれない。

大ちゃんだけでなく、少なからず他の選手もきっと、そうだと思います。

でも今、大ちゃんは「現役もパフォーマンスも本気でやる」と宣言しているんです。

我々がお金を払って観に行くショーのパフォーマンスも、試合に臨む姿勢と覚悟で演技をすると宣言しているんです。

一体全体、誰が誰に何を言っているのでしょう?

私はただただ、私の大好きな選手たちの演技を全力で堪能するのみです。

えみりん🎵

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