まっちーのプロジェクトと大ちゃんのカンパニー

まっちーの継承プロジェクトのニュースを聞いた時は「なるほど!」という気持ちと、「こういうのを待っていた」という気持ちが沸き起こりましたね。

最初に継承プロジェクトを聞いた時、歌手がCDを出すように、フィギュアスケーターがDVDを出すイメージが沸いたんです。

私は昭和の生まれで、ヒット曲の円盤(レコードや後にはCD)を大切に買い集めたものですが、元々大ちゃんのプログラムもそういうイメージが私の中にあったんですよね。 

大ちゃんのプログラムも円盤(DVD)として手元に集めて、休日に取り出して、ゆっくりと何度でも観て気分を上げるような、 至福の時間を過ごしたいような。

ただフィギュアの場合は「このプログラムはあの試合の演技がよかった」という事が大ありですけど。

実際、大ちゃんのDVDは発売されていますが、そうではなくて、歌手が新曲をリリースすると同時にCDを発売するようなイメージで、毎シーズン終了後にDVD発売みたいなイメージです。

レコードのA面B面があるように、フィギュアはショート・フリー・エキシビションがありますから、ショートはあの試合、フリーはこの試合とか…。

町田樹が語る「継承プロジェクト」の意義とは?【町⽥樹×田中刑事「継承プロジェクト」インタビュー 第1回】(一部抜粋) 

https://www.tv-tokyo.co.jp/sports/articles/2021/05/018496.html

――「継承プロジェクト」について教えてください。

フィギュアスケートのプログラムというのは、振付師が選手からの依頼を受けて制作する、いわばオーダーメイド形式の創作物です。

フィギュアスケートの長い歴史の中で、これまでに数々の傑作プロジェクトが生まれてきましたが、そうした傑作も選手の引退と同時に世に出ることはなくなってしまいます。

それは、あまりにももったいないことです。優れた作品は次世代に継承していくべきだと考え、この『継承プロジェクト』を立ち上げました。

『傑作も選手の引退と同時に世に出ることはなくなってしまいます。』
 
たしかに、まっちーの場合はプロスケーターも引退した訳ですから、今回のJe te veuxなどは是非とも、後に残したかったプログラムに違いありません。

以前からまっちーはプログラムを「作品」と読んでいたように、この継承プロジェクトは、つまり、秀逸なプログラムをまさに「作品」として、後々にも残す事を目指しているという事でしょうかね 。

――過去に同一のプログラムを複数のスケーターが滑った事例もありますが、「継承プロジェクト」との違いは何でしょうか?

そういったケースはあります。例えば、’12-’13シーズンにデビッド・ウィルソンさんが西野友毬選手のために振り付けた『黄昏のワルツ』を、’20-’21シーズンに川畑和愛選手が滑っています。

しかし、『継承プロジェクト』がそれらと根本的に違うのは、このプロジェクトが著作権制度を基盤にしたもので、〝振付師が作品の上演権を許諾し、再演する〟ものだということです。

作品の公共化とでも言いましょうか、リンクメートや師弟関係などの内輪だけではなく、社会システムの1つとして、〝その作品を演じてみたいと思った人が、滑ることができる〟ことを目指しています。

私の場合は〝継承するスケーターに作品を上演する能力があるか〟という最高難度の審査基準を設けていますが(笑)、音楽界におけるJASRAC(日本音楽著作権協会)のように〝使用料を払えば誰でも使用していい〟というプログラムがあってもいいと考えています。

歌謡曲では、ひとの曲をカバーする事はよくありますよね。

頭にすぐに浮かんだのは、かなり前の話ですが、サザンの桑田さんの「いとしのエリー」をレイ・チャールズがカバーし、日本のCMに出て話題になりました。

他にもたくさん、歌手が他の歌手の曲をカバーしていますが、それをフィギュアのプログラムに置き換えて考えた時に、是とするのか非とするのか…。

あくまでも私の勝手な意見としては、是非やって欲しいな、と思います。
 
私は大ちゃんファンなので「この曲を大ちゃんが滑ったら、どんな演技になるのかな?観てみたいな」というのは、これまで、たくさんありました。

それに、過去の大ちゃんのプログラムに触発されたかのように、大ちゃんと同じ曲を試合のプログラムにもってくる選手が結構多いイメージを私は持っています。

まっちーがどのように考えているのか分かりませんが、この継承プロジェクトが試合のプログラムでなされた場合、

採点するにあたり、前のスケーターのイメージと比較して、少なからず影響はないのかしら?とか、基本的にシーズン毎に新プログラムを観てみたいですし、そこを非常に楽しみにしているというところは大いにありますよね。

 

――町田さんは「フィギュアスケートを文化に」という目標を掲げていますが、今回のプロジェクトもその一環なのでしょうか?

フィギュアスケートが文化として長く存続するためには、豊かな歴史を編まなければなりません。日本ではたくさんの選手が優秀な成績を収め、そういう意味では厚く豊かな歴史があります。

しかし、競技成績だけが歴史ではなく、例えば、〝1つのプログラムがどういった変遷をたどったのか〟〝アイスショーがどのように発展していったのか〟そういったものも歴史の1つになります。

現在はスター選手が求心力を持ってフィギュアスケートの文化を支えていますが、それだけではなく、作品やアイスショーのカンパニーが求心力を持つことができれば、門戸が広がり、フィギュアスケートという文化がさらに強固なものになると思います。

いろいろな人がさまざまな動機でフィギュアスケートを鑑賞するようになる〟、このプロジェクトによってその状況を作り出すことができればと思っています。

「スター選手だけではなく、作品やアイスショーのカンパニーが求心力を持つことができればフィギュアスケートという文化がさらに強固なものになる」

ここで言っている「カンパニー」とはプリンスアイスワールドチームやプリンスホテルを指していると思いますが、

まっちーのこの考えというのは、大ちゃんが目指すところの「カンパニー」と同じであるような気がします。

まっちーも大ちゃんも、フィギュアスケートの芸術性や可能性というものを確信していて、フィギュアスケートを競技という括りだけではなくて、芸術として、エンターテイメントとして確立したいという思いなのかな?と思います。

それに不可欠なのが芸術性に優れたスケーターを確保して守る「カンパニー」であり、そういうカンパニーをつくる事が大ちゃんの夢なのかな?と。

 

継承する者と受け継ぐ者、それぞれの「Je te veux」【町田樹×田中刑事「継承プロジェクト」インタビュー 第2回】(一部抜粋)

https://news.yahoo.co.jp/articles/e5314aeaf4e5d1f80e53bb99108415efc1478708?page=1

これまでは多くの人がスケーターに注目して演技を観ていたと思うのですが、この『継承プロジェクト』をきっかけに、作品にコミットして演技を観る人も増えていくのではないかという期待があります。

従来のスケーターにコミットする鑑賞法に加え、『この作品を、彼が、彼女が演じたら、どんな世界を見せてくれるのだろう』という作品を中心にした鑑賞スタイルも盛り上がってくるのではないでしょうか。このように、“観客がこれまでとは異なる角度でフィギュアスケートを観ることができる”そのことだけでも『継承プロジェクト』をやって良かったと思います。

『継承プロジェクト』は振付師が主導となるプロジェクトですので、これをきっかけに、世界中の振付師たちにこのような仕組みや考え方が普及していくことが願いです。

観る側もフィギュアの楽しみ方が変わるプロジェクトであると思いますし、スケーターにとっても、過去の名作を滑る事で得られるものや、気づかずに潜在していた自分の力に気づくきっかけになるかも知れないですね。

このプロジェクトと大ちゃんのカンパニーの夢を今後も楽しみにして動向を見守りたいと思います。

えみりん🎵

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高橋大輔

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